闇夜の慟哭

異空間にある瑠璃工房の片隅は、時が止まってしまったかのようだった。
分厚い埃が積もり、炭には蜘蛛の巣が張り、寂しげな雰囲気を醸し出している。けれど、ジンさんはわざとそうしているようだ。
私：どこに置いたかな？
大きいも小さいとも言えないその空間であちこち探し物をしているけれど、忘れたノートはどこにも見当たらなかった。
その時、部屋の隅で古い本を見つけた。
私：こんな本、前からあったかな？
不思議に思いつつ本を手に取った。黄ばんでしまった表紙は、この本の歴史を物語っている。
本を開いた途端、突然風が吹き荒れてページをめくった。
「永久不滅の時空の向こう、様々な異世界が存在している」
「あちらの世界で、農民になるか、貴族になるか、それとも湖畔で歌う詩人になるか、忙しい商人になるか――」
「それとも、光を象徴する騎士、暗闇に潜む吸血鬼、神秘な魔女になる可能性も――」
「無限に広がる世界では、数千億の可能性がある。それらはいつか、そっとあなたに世界を垣間見せるだろう」
「あなたがバラのような奇妙な運命を受け入れるなら、異世界の扉は開かれる」
最後のページには古い鍵の絵が描かれていた。
鍵の絵に触れた瞬間、眩しい光が私を包み込む……