シモン　デート

残業して帰る途中、突然大雨が降りだした。ただでさえ落ち込んでいた私は、雨の中を急いで帰ることに。

雨の中を駆けだそうとした瞬間、誰かに腕を引っ張られた。振り向けばそこにはシモンが。私が震えているのを見て、シモンはコートを脱いで私の肩にかけ、傘を出して私を家まで送ってくれると言う。

雨の勢いは増すばかり。シモンは自分の肩を濡らしながらも、傘をできるだけ私の方に寄せてくれた。その道中、私たちは雨に震える猫を見付けた。

家に帰る途中、怪しげな人たちを見かける。私は怖くなり物陰に隠れたが、突然両手で口元を押さえられてしまった。

私の口を押さえた謎の人物は、目立たない場所に移動するよう指示をだす。それがシモンだとわかり安堵したものの、状況が飲み込めないままとりあえずシモンを家に連れて帰った。彼の服は血だらけで、腕には細長い傷もある。シモン、一体何があったの？

シモンの体の傷は痛々しかった。いつも私の前で優しそうに笑い、清潔感のある服に身を包んでいる彼が、今は青白い顔をして、汚れた服で私の前で横たわっている。私は傷口を消毒し、食べ物を用意するくらいしかできなかった。幸い傷は浅く、シモンは一晩寝ただけで回復した。そして、私はシモンに対する気持ちがより深まっていることに気が付いた。

シモンからの電話はいつも突然。今回は、私に彼女の役をやってほしいと言ってきた。理由はわからないけど、申し出を受けたいと思った。

昨日の夜、3時間かけてシュークリームを作った。シモンの好みが分からなかったのでいくつもの味を用意する。

シモンが水族館に誘ってくれた。水族館に行くのは初めて。水槽を泳ぐ魚たちを見ていると、ずっとここに閉じ込められていることに対し、他人事ではないような寂しさを感じた。

シモンはこの世界も同じだ、と言う。こういう話題になるたび、シモンの事が分からなくなる。私の知っているシモンが、本当の彼ではないような気がして、ふと、昨夜の夢を思い出した。あれは、何かの予兆なの……？

疲れていたのか、私はシモンの肩に寄りかかり眠ってしまった。夢の中、黒い服の人たちに連れて行かれるシモンを見た。急いで駆け寄ろうとしても体が全く動かない。必死に大声をあげようとしても届かない……！その時、温かい両手が私の額をそっとなでているのを感じた。悪夢は消え去り、私はまた深い眠りに落ちていった。

電話でもメールでも、全然シモンと連絡がつかない。何日も連絡が取れないので、不安と心配でいっぱいになった。

シモンが郊外の図書館で、一緒に番組に関する資料を探してくれるという。でも、こんな時に限って彼の車が故障してしまうなんて。

名案だと思っていたバスは満員。シモンはバスの混雑を予期していたのに、あえて乗ってくれた。疲れた顔の彼に心が痛む･･････彼は私と一緒にバスに乗るのは楽しいと言ってくれるけど、私はどんな風に思われているの？

私とシモンは一緒にクチナシの花を育てた。ようやく花が咲いて、とても嬉しかった。そして、シモンがどこかに行こうと誘ってくれたので、桃の花を見に行くことにした。

シモンが番組に協力してくれたことに対して感謝の意を込めて、私は彼の誘いを受け一緒にホタル展へ行くことにした。

展示室は長い廊下になっていて、蛍の光に包まれ、まるで星空の中にいるかのようだった。

ケースに詰められ売られるホタルを助けたいと思いつつも、買い取るだけでは売り手の利益に貢献するだけだと物怖じしていた。するとシモンが、鮮やかな手腕で解決してくれた。さすが教授、本当にすごい。

冒険番組の準備のため、私とカメラマンは山奥へ取材にやって来た。

やっぱり明美にはあの先輩の本当の気持ちは教えない方がいいかな。きっと傷つくに違いない･･････

雪が降る中、シモンの心の奥底から湧いてくる暖かさを感じた。抱きしめられて、完全にシモンに夢中になっていることを自覚する。彼が私のプレゼントを気に入ってくれればいいけど。

まさかシモンが、自分の誕生日を祝ったことがないなんて。私は彼の触れて欲しくない部分を突いてしまったのではないかと不安になった。けれど、シモンは本当に嬉しそうにしてくれた。彼が自分の過去を話してくれて、私たちの距離はまた一歩近づいたような気がする。これからも彼がもっと多くの秘密を私に打ち明けてくれるといいな。シモン、いつも一人で全部抱え込まないで。私はシモンの力になりたい。

二年前、私の家族は吸血鬼に襲われて行方不明になってしまった。私はその事件の唯一の生存者。生きる気力を失くしていた私は、シモンの治療を受けて救ってもらった。それからずっと、この町で彼と一緒に暮らしている。

私は長く病を患っている。シモンが作ってくれた薬のおかげで、完全回復には至らないものの少しずつ良くなってきていた。その日、ディナーの席で最近町で噂になっている吸血鬼の事件についてシモンと話すことに……

また吸血鬼が町の人を襲った。不安が広がる中、シモンは子爵夫人のパーティーに出かけていた。体を休めるために屋敷に残っていた私は、青白い満月が昇る真夜中に目覚め、信じられない光景を目撃する……